パリの東から

エチュードもオリジナルで~デュポール「21の練習曲」
ジャン・ルイ・デュポールのチェロのための「21のエチュード(練習曲)」といえば、日本ではどの版が一番使われているだろうか?

グリュッツマッハー編によるペータース版はやめたほうがいい。オリジナルと異なるところがかなり多い。グリュッツマッハーは19世紀のドイツのチェロの名手だったが、好き勝手に原曲を変えてしまう名手でもあった。
有名なのはボッケリーニの協奏曲の改変であり、さらに恐るべきと言おうか、バッハの無伴奏チェロ組曲を「編曲」してしまったりしている。これはIMSLPで見ることができる→http://bit.ly/BachCello(グリュッツマッハー編は2つあり、上の方)。

グリュッツマッハーに限らないが、ほとんどすべてのエチュードは編集者によって、多かれ少なかれオリジナルとは違うものに変えられてしまっている。しばしば、オリジナルを見てみると、作者の本来の意図がよくわかる場合が多い。

Duport-Instruction_on_the_Fingering_and_Bowing_of_the_Violoncellocover_100

デュポールのエチュードの場合も同じで、例えば15番(変ロ短調)はオリジナルはアッラ・ブレーヴェ(2/2拍子)なのに、グリュッツマッハー版、それにフランスのルーブ(Loeb)版でも4/4拍子に変えられてしまっている。
それに7番と8番を例外として、第2チェロの伴奏が付いており、この15番では8分音符による「きざみ」の音形がついていて、まるで古典派の交響曲や協奏曲のアレグロ楽章のようである。このような音形の伴奏は9番、12番、17番にも付いており、第1チェロだけ見ていてはわからない、その曲の本来の性格がよくわかるのである。

今日このオリジナル版はIMSLPで簡単に見られるので、ぜひ試して欲しい。→http://bit.ly/Duport(Complete Book の最後の方か、21 Etudes: Original version (2 parts) を選ぶ)
ただし、ト音記号は実際の音より1オクターブ高く書かれていることに注意。それに音符の上の点は、短く(スタッカート)ではなく、単にレガートではなく音を切って(デタシェで)という意味である。またところどころに音符や指使いのミスが見られるが、それらは大体はわかると思う。

また、兄のジャン・ピエール・デュポール(彼もまたチェロの名手であった)が書いた2曲(8番と10番)には残念ながら指使いが付いていないので、ルーブ版などを参考にせざるを得ない。

演奏会用の楽曲は、今日オリジナルを見直すというのが当たり前になっているが、エチュードにも同じ光を当てて欲しいと思う。 

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テーマ:チェロ - ジャンル:音楽

  1. 2011/10/30(日) 16:11:51|
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