パリの東から

アンナ・マグダレーナ・バッハ著?「バッハの思い出」
バッハの思い出 (講談社学術文庫)バッハの思い出 (講談社学術文庫)
(1997/09/10)
M・アンナ・バッハ

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何年前だったか、本屋だったのか、楽譜屋だったのか思い出せないが、この本をたまたま見つけてびっくりした覚えがある(心斎橋のヤマハだったような気がする)。

アンナ・マグダレーナが書いた本だって? 
作家でもない彼女がこんな分厚いバッハの思い出を書き綴れたなんて、ほんまかいな?

頭の中が疑問符でいっぱいになりながらも、好奇心に駆られて買ってしまった。

読み進めるにしたがって、いや、1行読むごとに疑問はひたすら膨れ上がる一方で、とても読み進めたものではない。まるでバッハの伝記を丸写ししたのではないかと思えるような書きぶりに辟易して、数十ページでギブアップ。

書かれている内容が問題なのではなく、その書き振りが問題なのだ。本当の身内が、本当の妻がこんなまるで他人事のような書き方をするわけがない。ここには まるで生活感がない

バッハといえば、職人中の職人、親方中の親方、棟梁中の棟梁、大棟梁である。相撲部屋の親方を想像するのがいいと思う。アンナ・マグダレーナはそこのおかみさんである。
たくさんの子供とたくさんの弟子達の世話、家事、夫の仕事の手伝い、そして自分自身歌手でもあったわけだし、13人の子供を生んだということは、10年間以上妊娠していたわけで、そりゃもう大変な生活だったに違いない。

それがいくらバッハの死後とはいえ、こんな伝記作家のようなのん気な書き方をするわけがない。

そう思って調べてみたら、案の定、この本は1925年にEsther Meynellというイギリスの女性作家が書いたもので、ちゃんと著者名が書かれて出版されたのに、後にドイツ語訳が出版された時に、多分意図的に著者名が伏されて、それがそのまま日本語にも翻訳されたために誤解が生じてしまった、ということがわかった。


それにしても講談社はいまだにアンナ・マグダレーナ・バッハが書いた本として、講談社「学術」文庫の一冊として売っているのでしょうか? だとしたら 詐欺としか言いようがない が、ただの伝記小説として出したら、今ごろ買う人は誰もいないでしょう。

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テーマ:音楽的ひとりごと - ジャンル:音楽

  1. 2010/10/03(日) 23:18:50|
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