パリの東から

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ティンパニの打ち直しについて(ドヴォルザーク「新世界より」)
たまたまインターネットでドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を聞くことがあって、驚いた。

第1楽章序奏部の終わり(第22小節)で、ティンパニがトゥッティに対して2回の裏打ち(E-B)をするが、ほとんどの演奏が2回目のB音を16分音符と4分音符を分けて打ち直ししていたからである。それも名だたる巨匠たちがである。

これがその部分のスコア(管楽器は省略)であるが、一体どこをどう読んだらそんなことになるのか?

Dvorak Sym 9 1

確かに16分音符と4分音符(と、さらに次の小節の8分音符)をタイでつないでおけば誤解はなかったろうし、今の作曲家ならそうするだろうが、トリルがつながっているのだから誤解しようもないし、ドヴォルザークだってまさかそんなアホな指揮者がいるとは夢にも思わなかっただろう。

しかもどの演奏も皆、16分音符を単音で打った後、少し間を置いて4分音符をトリル(ロール)で演奏するのだが、トリルははっきりと16分音符から始まっているのである。

ここでは2つの裏打ちだけが音楽的に意味があるのであって、あとは単なる「余韻」である。「余韻」を打ち直してどうしようというのだろう?それに次の小節のヴァイオリンのトレモロがティンパニに呼応しているのはあまりに明白である。

それでもどうしてもわからないという頭がコチコチの指揮者には、ドヴォルザーク自身が編曲した四手連弾用の楽譜をお見せしよう。これでもう誤解する指揮者はいなくなるだろう。

Dvorak Sym 9 2

それにしても一体誰がこんなアホなことを始めたのだろう?そしてそれを誰も彼もがまねをするという情けないことになったのだろう?

恐らく比較的最近のことと思われる。ぼくが最初にこの曲を聞いたのはカラヤンのLPレコードによるが、それには打ち直しはなかった。ところが晩年のカラヤンの映像では打ち直ししているのである。その間に一体何があったのだろうか?どなたかご存じないですか?

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  1. 2015/09/08(火) 11:20:40|
  2. 音楽
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

コメント
ティンパニの打ち直しについて
アマチュアの打楽器奏者です
この部分は以前から気になっていましたが
音楽の流れからいけば
4小節目のホルンの音型を模した解釈か
演奏慣習(?)かと思います

記譜どおりの演奏は
ショルティ/シカゴ交響楽団
バーンスタイン/ニューヨークフィルで
聴くことができますが少数派のようですね

私は2番目に聴いた演奏がショルティで
この部分に戸惑ってしまいました
  1. 2016/09/11(日) 23:21:22 |
  2. URL |
  3. sarumi #-
  4. [ 編集]
sarumiさま、コメントありがとうございます。

その4小節目のホルンも問題の箇所ですね。こちらの記事が参考になりますが、http://www.ne.jp/asahi/jurassic/page/talk/dvorak/praha.htm ぼくは自筆譜を見ていないので断言できませんが、音楽的には1955年のプラハ版(64分音符と付点4分音符)が正しいでしょうね。10小節目からの木管とホルンの音形と一致しますから。この序奏は8分の4拍子という細かい拍子なので、初版を作った人は見間違えたのかもしれません。

しかし上に引用した四手連弾版でもこのホルンは管弦楽版と同じ、32分音符と4分音符になっており、ドヴォルザークが後で改定した可能性もあります。この連弾版はドヴォルザーク自身によるはずですから。自筆譜から徹底的な校訂をされた指揮者、内藤彰さんの版がどうなっているか知りたいところです(ご覧になったらお知らせ下さい)。

それでティンパニですが、これは4小節目のホルンとは何の関係もないでしょう。32分音符でも64分音符でも「タターン」という付点リズムの快さは感じさられますが、16分音符ともなると、この拍子、このテンポでは全く感じられなくなりますから。やはり記事で述べたように、このティンパニはその後のヴァイオリンのトレモロと関連付けられるべきでしょう。
  1. 2016/11/03(木) 06:28:57 |
  2. URL |
  3. Shin-Itchiro #-
  4. [ 編集]

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