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フランスの和声学 |
日本では、東京芸大の名誉教授だった池内友次郎(いけのうち ともじろう)氏の影響で、フランス式の和声学教育法が取り入れられているという。池内氏は日本人として初めてパリ音楽院に入学した人である。池内氏が日本で教育を始める前はドイツ式が中心だったらしい。と言ってもドイツ式がどんなものであるのかぼくは知らないが。 しかし今でも日本で最も使用されている、いわゆる「芸大和声」の教本で使われている和音記号は、フランス式とは似ても似つかぬものである。フランスでは未だに400年来の数字付き低音で和声を勉強している。 さて、現在のフランスではあまり使われなくなって来たが、フランスの和声学と言えばかつてはデュボワの和声学教本(1921年初版)が最も使用されていた。これは日本語にも翻訳されたので、知っている人も多いと思う(今は絶版のようだが)。 ところでデュボワはこの教本の前に、レベールという人の和声学教本(1862年)を補うための「注釈と課題」(1889)という本を書いている。それで1921年にデュボワの和声学教本が現れるまでは、レベールの教本とデュボワの「注釈と課題」を併用するのがフランスの和声学教育で最も行われていたことのようである。 池内友次郎氏も師のポール・フォーシェからそのようにして学んだと、日本語版のデュボワの和声学のあとがきに書かれている。 ぼくはレベールの教本とデュボワの「注釈と課題」をともに中古楽譜屋で手に入れたが、レベールの教本の課題は易しく簡潔で、しかも美しい。ただ課題が少なく、デュボワがこれを補いたくなったのもよくわかる。「注釈と課題」の課題は何のことはない、ほとんどそのままデュボワの和声学教本に引き継がれている。 そこでぼくとしては、もしフランスの和声学に興味があるのなら、この19世紀終わりから20世紀初めにかけて行われた、レベールの教本とデュボワの「注釈と課題」の併用をお勧めしたい。どちらも日本語訳はないが、必要な方はデュボワの和声学教本の日本語版を手に入れて参照すればいいだろう。 幸いにもどちらも今ではインターネットで見ることができる。 レベール「和声学教本」 デュボワ「注釈と課題」 ![]() にほんブログ村 スポンサーサイト
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